直根苗を利用した斜面対策工
本来の森林は動植物に生息環境を与え強い根が土砂災害を防ぎます。健康な土壌は急激な増水(洪水)を防ぎ成長中の木々がCO2を吸収します。
このように自然の山川では水の循環がその安定に非常に深く関係しています。深い根をもつ樹木が山の地面深くに健康に生育していくことは山の均衡に欠かせません。
特長
直根苗による法面安定化
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直根苗の育苗
直根苗を約40cm程度まで成長させます。
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法面へ深さ1m程度削孔
のり面へ深さ1000mm程度削孔、良質土を充填し直根苗を植え付けます。
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直根苗が大きく成長し法面を安定
法面を深く掘って直根苗を植えたことで、根が重力方向に強く伸び、基盤層まで到達しやすくなる。また横方向にも大きく広がることで法面全体を抑えることができ法面が安定する。
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広葉樹林化
地域潜在植生に適した広葉樹林となります。
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設置したウッド筋工にどんぐりを置いた実験
傾斜が急で岩が多く見られるような法面でも、ウッド筋工が作る棚にどんぐりなどをとどめ、発芽させることができます。
またウッド筋工の雨水等を取り込む保水効果で、植物がしっかり根付くまで成長させられることが分かりました。
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現場の土質:
急斜面で岩が多く植物の生育に適さない
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ウッド筋工設置後
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植生基材吹付後
どんぐりを置き約3ヶ月後の成長したウバメガシ(広葉樹)
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約15年後の成長したウバメガシ
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筋工部に沿って成長した木々
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二次更新された幼木(ウバメガシ)
メッセージ
自然共生時代の国土管理にむけ、生態系を活用した減災技術が注目されています。
先祖の知恵を科学的に見つめなおして継承し、現代の技術として発展させていきます。
もともとの風土に合った樹種を活用し、住民の手で山や暮らしを守っていきましょう。
清野 聡子(九州大学大学院工学研究院環境社会部門生態工学研究室 准教授)